happykobe2005-10-30

事業でも、力づくでやっておると、いずれ競争になって困難になる。事業が人間性から滲み出た、徳の力の現れであれば、これを徳業といいます。事業家は進んで徳業家にならないといけないのです。また、その人の徳が、古に学び、歴史に通じ、いわゆる道に則(のっと)っておれば、これを道業といいます。東洋人は事業だけでは満足しない、徳業にならないと満足しないのです。現代の悩みは、事業が徳業にならないで利業・機業になってゆくことです。すべてが機械的になって、およそ人間的交わりというものがなくなってしまいました。アメリカにグッドイヤーという会社があって、終戦がそこの社長をしておったリッチフィールドという人が社長を辞めて会長になった時に、『オータム・リーブス』(秋の葉、つまり紅葉のこと)という本を書いた。彼はその中で「これからの事業は今までのような功利的・機械的な事業ではいけない」ということを自分自身の体験からしみじみと述べている。