happykobe2005-09-09

二世紀半を超える江戸時代を通じて、その思想・学問・政治・文化に最も大いなる影響を与えたものは儒教である。儒教は、時代と人物によって随分その内容を異にし、容易に概論することはできないが、あえていえば、最も現実に即した倫理および政治に関する教えであり、人間の倫理を、根本的に君と臣、親と子、夫と婦、長と幼、朋友相互の五種の関係に分類し、この倫理を通じて道徳が実践せられるところに文明が発達する。倫理道徳の頽廃の上には何事をも建設することはできない。物質的成功のみを目的とし、自己の名利権勢を計るにすぎない者はみずから破滅を招く者である。