happykobe2005-08-07

学問というものを分類しますと、これは見地によっていろいろにできますが、学問のもっとも根本的性質による一つの分類をしますと、これを三つに分けることができます。一つは「知識の学問」です。これは今日の学問を代表するものと言ってよいでしょう。しかし知識の学問のみが学問ではなく、学問にはもっと根本的性質の区別があります。それは「智慧の学」というべきものです。
知識の学問と智慧の学問では非常に違うのでありまして、知識の学問は、我々の理解力・記憶力・判断力・推理力等、つまり悟性の働きによって誰にも一通りできるものです。子供でもできる、大人でもできる、善人でもできる、悪人でもできる。程度の差こそあれ、誰でもできる。その意味では、機械的な能力です。しかしそういうものではなく、もっと経験を積み、思索反省を重ねて、我々の性命や、人間としての体験の中からにじみ出てくるもっと直観的な人格的な学問を智慧の学問といいます。だから知識の学問より智慧の学問になるほど、生活的・精神的・人格的になってくるのであります。
それを深めると、普通では容易に得られない徳に根差した、徳の表れである徳慧(「とくけい」あるいは「とくえ」と発音)という学問になる。これが聖賢の学であります。