今時の人間は少しでも評判をよくしたい。持てはやされたい。人民大衆からもてはやされたいことばかり考えている。そういう時にその逆に、あたかも人間が太陽の光を受けて育ちながら、太陽に一向気がつかない。空気を吸って生きていながら、空気の有難味を思わない。水や、空気や光のように誰からも無意識であり、無名であるようでなければ本当でないという思想は実に晴々して、確かに現代人には一つの救いです。