松下幸之助

鶏頭となるも牛尾となる勿れ、という言葉がありますが、大会社の支配人より豆腐屋でもいい、独立したいという考えの方が強いのであります。小さくてもよいから自由な立場に立ってゆくことに一つの憧れをもっているのであります。だから、なるべく個々の創意…

わが国はいま民主政治であるといっていますが、実際には人間性を重んじているとは言えないと思うのであります。ずいぶん無理な政治が行なわれております。それは為政者も民衆も、われわれの人間性ということについて認識が低いからだと言えましょう。従って…

砂糖を使う人は自らその甘さを知らなければ上手に調理できないように、民衆を導き政治を担当する人は、本当に人間の味をなめて、人間性を知った人でなければできないのであります。だから為政者がこれを味わわずして、学問や才能や理論のみに頼って政治を行…

人間の知恵や才覚というものは大自然の働きに比べますと、実に小さいものであります。すなわち、人間の全生活を通じて、人知の働きはせいぜい万分の一で、残りの九千九百九十九は、天地自然の理の働きによって生かされているのであります。しかるに学問や知…

本当に生き生きと楽しんで仕事ができ、そこから生み出される収入で、多少の蓄積も生じて人生を楽しめるようになるのは、一に政治の力によるものであると思います。ところが政治の上の大きなムダが、国民の真剣な働きを打ち消してしまうようでは、国民は余裕…

宇宙の恵みに感謝してゆく人は、永遠の生命を知る人であります。宇宙に瀰漫する力を信じ、感謝の心を深めてゆくところに明朗な人生観が打ちたてられ、自然の恵みはいよいよその働きをまし、繁栄、平和、幸福の道に進むことができるのであります。 宇宙の恵み…

自然の恵みを素直にうけることができてこそ、そこから繁栄と平和と幸福が生まれてくると考えるのであります。 人間の生活態度には、自然の営みついてこれに恵みを感じ、感謝をあらわす態度と、これを単なる現象とみて、当然のことのようになんらの心構えも持…

あたかも子供を育てる母親の慈愛と同じように、自然は大きな恵みを人に与え、人間を日ごと夜ごとにはぐくみ育てているのであります。ただその自然という母親は、手を取ることも、呼びあうことも、目で見ることもできないので、ややもすると、われわれはこの…

あたかも子供を育てる母親の慈愛と同じように、自然は大きな恵みを人に与え、人間を日ごと夜ごとにはぐくみ育てているのであります。ただその自然という母親は、手を取ることも、呼びあうことも、目で見ることもできないので、ややもすると、われわれはこの…