happykobe2005-07-21

馬鹿殿様というのはこれは決して軽蔑した言葉ではなくて、賛美の言葉であります。大勢の家来を包容してその上に坐って、これを統率して行く。こういう事は余程馬鹿にならぬことにはつとまるものではない。馬鹿殿様にしてはじめて名君たり得るのであります。
人間は利口になるよりも如何に馬鹿になれるかということが大事なので、『論語』の公冶長篇にも「その知及ぶべし、その愚及ぶべからざるなり」と言っております。これはその馬鹿さ加減が話にならぬということではなくて、彼の賢い点は真似が出来るけれども、馬鹿っ振りに至っては到底真似が出来ぬという、孔子が愚の礼讃をしたのであります。